『サンタフェ』廃棄はだれが判断するのか?

 与党改正案は、「自己の性的好奇心をそそる目的」で「児童ポルノ」を所持する行為に、罰則をもって対処している。

 野党質疑者は、これが自白のみで立証され、えん罪が生まれる危険性を指摘、私は、えん罪を生まないように、自白だけでなく、客観的な事実(画像を何回開いたか、何回も見た形跡のある本か、量はどうか、その人の日常の行動はどうか等)とともに、総合的に立証していけば、懸念は当たらないと答弁した。

http://www.hanashiyasuhiro.com/modules/news/article.php?storyid=194

これの怖さは、ある個人が「児童ポルノ」ではないと判断して思いっきり「自己の性的好奇心をそそる目的」で使いまくった場合に、後になって逮捕されて裁判所で「君がどう思っていたかは知らないけれど、君が心行くまで使いまくったそれは実は『児童ポルノ』なのだよw」みたいなことにならないのかどうかという点です。

そもそも、

具体の書籍が「児童ポルノ」に該当するか否か、私は、第1義的な解釈権を持つ所管省庁が判断すべきと思うし、ミリオンセラーにもなった有名な書籍であれば、政府も、問い合わせに対応する位のサービスはすべきであろう。

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問い合わせをしなければ、国家が「児童ポルノ」と判断しているのかどうかわからないというのは、怖さ満点ではないでしょうか。『サンタフェ』ほどには有名でない書籍を廃棄するかどうかは、いったい誰が判断するのでしょう。それを所持している人が自主的に「児童ポルノ」かどうか判断しなければならないのでしょうか。しかし、その判断が国家の判断と異なっていた場合、それに伴う不利益は誰がどのように補てんしてくれるのでしょう。

私が思うに、まずは国家がミリオンセラーに限らず、どのコンテンツが「児童ポルノ」に該当するのかを個別に認定し、そのリストを広く公開するべきでしょう。その個別リストの中に写真集『サンタフェ』が含まれていた場合に、認定・公開後の猶予期間内に廃棄しなければならないとの義務を課すのならば、ある程度筋は通るような気がします。そのような手続きを経ることなく、「児童ポルノ」所持の容疑で逮捕みたいなことになってしまっては、おちおち出版物など購入することなんてできなくなってしまうのではないでしょうか。

とにかく、国家が「児童ポルノ」認定を公言したわけではない個別の出版物について、それを所持している個人が廃棄するかどうかを自主的に判断するなんて無理な話のように思います。