原稿と段落表現

 日本の商用ウェブサイトに原稿を出すと、段落が改まるとき、このように空行を入れたうえで、段落の最初に1字、空白をあける。私の知っている限り、新聞社もCNETやASCII.jpなどもすべてそうなっているが、これは日本だけの奇習

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/fb3c3d0be0d6775c60e86ff156a2f9b8

だそうです。本当にそうなのでしょうか。例えば、LaTeX2eの\documentclass{article}で組版した英文原稿なども、章や節の表題直後の段落以外はどの段落も先頭の文が自動的に字下げされるようですけど。

というか、原稿書きに求められているのは、章立ておよびその表題と、段落構成および各段落の中身である一次元文字列情報であって、アスキーアートのような必然性を伴う特殊ケースでない限り、どのフォントを使うとか、どのように段落区切りを表現するとか組版のデザインに縛りを与えるような書き方をわざわざする必要はないように思います。

もしもどうしても組版のデザイン次第で中身の意味が変わってしまうような原稿を書きたいならば、組版もすべて自分で引き受ける条件のもとに原稿執筆を引き受けるか、そうでなければ組版をする人との綿密な打ち合わせが必要となることでしょう。その労力なしに自分の意図するデザインとは違う形で原稿が組版されたとしても、文句の言えるような筋合いにはないような気がします。

追記:コメントでも出ているように、これは縦書きの「字下げ」のなごりだろう。この新聞や本の縦書きという奇習もやめてほしい。中国も横書きだから、縦書きは主要国では日本だけだ。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/fb3c3d0be0d6775c60e86ff156a2f9b8

縦書きをする主要国が日本だけかどうかはよく知りませんが、たとえ横書きでも、右から左へと文字を連ねて書く習慣の国はいくらでもあるわけで、右から左へと行を連ねる縦書きが左から右へと文字を連ねる横書きの流儀を90度右回転させれば得られるという意味では、かえって日本の縦書きのほうが、アラビア語ヘブライ語などの横書きと比べて英語やロシア語などの横書きの流儀に近いような気もします。日本だけが世界の習慣から取り残されているかどうかについては、微妙なところではないでしょうか。