ウェブそもそも論(の謎×17)

徐々に論点が明確になってきているような気がします。

ややこしい書き方をされていますが、結局、リンクされた側からリンクを止めるように言われた場合、リンクした側は

  • (1)リンクを削除する
  • (2)リンクしたことについて相手の同意を取ってリンクを継続する
  • (3)リンクしたことについて相手の同意を取らずリンクを継続する

の3つから対応を選択する。その選択はリンクした側が行うことであり、リンクされた側が行うことではない。

ということですよね。普通のことだと思いますけど。

2007-10-20

そして、それが普通の人にとって気軽にできる選択なのかどうかについて私は判断できませんが、(3)を選択した場合に

  • それをしない自由が制限されていないにもかかわらず、「その人を納得させることなくその人の希望を打ち砕く行為をしても構わない」と自分の価値観に基づいて一方的に判断して、それを実行している

という事実が生じるということも述べています。ということで、責任という観点からの議論からは一旦離れて、議論を本筋に戻しましょう。

「リンクを止めるように言う」といってもいろいろありまして、

  • (1)許可のないリンクは不当なものだから削除して、と言う
  • (2)恐縮ですがどうかリンクを外してくれませんか、と言う
  • (3)本件リンクは存在しない方がよいのではないか、と言う

などが考えられます。

2007-10-20

しかし、それを言う側がどの言葉を発したとしても「そのリンクが存在しないほうがウェブのネットワークトポロジーとして望ましい」と主張しているとの解釈が不可能でないならば、(私たちの議論と同じように:−)相手に伝えたいことをうまく表現できていないだけという可能性が残ります。ならば、仮にたとえ(1)の言葉が発せられたとしても、その言葉を発することが不当な行為であるとは必ずしも言い得ていないのではないでしょうか。

議論において、主張したい内容がうまく表現されていなかったり、ローカルな価値観に基づく主張がなされることなんていくらでもあると思います。だとしたら、sci98さんの論は単に「その言い方や主張を議論においてするのは不当な行為である」という前提をおくローカルにおいて成立している主張にしかなっていないのではないでしょうか。

疑問点をまとめます。

議論において「言い得ていない主張」がなされることはいくらでもあります。しかし、sci98さんの論では、議論において「ある種の言い得ていない主張をするという行為」そのものを「不当」であるとしているように感じられます。もしもsci98さんの論がローカルな価値観に基づくものでないと主張されるのならば、なぜ議論において「言い得ていない主張をする行為」が「不当」であると言い得るのか(あるいは、なぜ「言い得ていない主張をした人」が議論をしようとはしていないと言い切れるのか)という点について、とても謎めいているようない気がします。