リンクとクレーム

「リンクを自由にすることができるウェブでリンクされたくないというのは変だ」ということの根拠としてウェブの理念や設立目的を据えるのは変だ(私の主張は、桶屋が儲かった原因はねずみが桶をかじったからであって、ねずみが桶をかじる原因が風が吹いて生じる連鎖であるなしには依存しないのではないかというもの)という議論の途中ですが、一旦その議論から離れて、リンクをされたくない人によるリンク行為に対するクレームについて、

WWWの「情報の共有、結合」という目的を覆したいのなら、いきなり他人にクレームを付けるのではなく、

2007-10-15

とは別の解釈の可能性について論じてみたいと思います。

ウェブは自分の選んだサイトに自分の判断でリンクをしたい人にそれをする自由を与えています。また、自分のサイトに他人から自由にリンクをされたくない人はウェブを利用しない自由も制限されていません。なので、リンクをされたくない人が自分のサイトに相手からリンクをされたとしても、「なぜあなたは『自由に』リンクをするのですか?」と文句を言える筋合いにはありません。

しかし、そのようなリンク行為に対してリンクされた側が別の観点から文句を言う場合には、筋が通ることもあるような気がします。

「ウェブが自分で選んだサイトに自分の判断でリンクをしたい人にそれをする自由を与えている」とは、自由と責任の間の関係を用いて言い換えるならば、「ウェブは自分で選んだサイトに自分の判断でリンクをしたい人に(それをする自由を与えるのと引き換えに)それをすることの責任を負わせている」ということになりそうです。そして、その責任を負いたくない人がウェブを利用しない自由も制限されていません。だとしたら、相手に自分の判断でリンクをした人が、リンクをした相手から「なぜあなたは『私のサイトに』リンクをするのですか?」と文句を言われたとしても、「あなたはその文句を言える筋合いにありません」と言い返せる筋合いにはないとは言えないでしょうか。

つまり、リンクをされた側からリンクをした側へのクレームとしては、『なぜ自由に?』と文句を言うのは筋が通らないけれど、『なぜ私のサイトに?』という文句ならば筋が通っていると言えそうです。

なお、検索サイトなどは自分で選んだサイトに自分の判断でリンクをする自由を放棄しているので、リンクすることに対する責任を負わされていません。また、無断リンク禁止宣言をしているサイトも自分で選んだサイトに自分の判断で無断リンク禁止を宣言する自由を放棄しているので、宣言をすることに対する責任は負わされていません。そして、そのようなサイトが存在しているウェブを利用したくない人は、利用しない自由も制限されていません。なので、これらのサイトに筋の通った文句を言うのはちょっと難しそうな気がします。

ブックマークコメントへのレス

「なぜあなたは『私のサイトに』リンクをするのですか?」 / そこに、あなたのサイトが有ったから。

はてなブックマーク - kana-kana_ceoのブックマーク / 2007年10月19日

もしかして「なぜ殺したのですか?」「そこにいたから。」みたいな論理?