被無断リンクは自己責任か?

無断リンクの議論における大前提に、「もともとウェブにコンテンツを公開しなければ、無断リンクをされることはない」というものがあります。つまり、無断リンクをされたくない人は、コンテンツをウェブに公開しないという選択をすることによって、無断リンクされることを自ら回避することができます。しかし、たとえこの大前提に基づいたとしても、無断リンクをされたくないのにウェブにコンテンツを公開した人に対して、「公開しなければ無断リンクされることを回避できたのに、あえてそれをすることなくウェブにコンテンツを公開したのだから、無断リンクをされたとしても自己責任だ」ということにはならないような気がします。

お店で100円を出してジュースを買うかどうかの選択において、ジュースを手に入れれば100円を失い、100円を失うのを回避すればジュースが手に入らないという状況のもと、どちらを選択しても結果については自己責任であるというのは妥当性はあるような気がします。つまり、自分の選択に伴う結果を知ったうえでの選択なので、その結果については自分自身で納得せざるを得ないわけです。

では、宝くじではずれたくない人が宝くじを買う場合についてはどうでしょう。この場合、買わなければ確実にはずれずにすむことが事前に判りますが、買った場合にはずれるかどうかは判りません。どことなく、無断リンクされたくない人がウェブにコンテンツを公開する場合の構図に似ているような気もます。宝くじを買ってはずれたときに、その結果については自己責任でしょうか。私は自己責任だと思います。なぜなら、くじがはずれるかどうかの決め方に関する情報はくじを買う時点で知り得ていたからです。

無断リンクされたくない人がウェブにコンテンツを公開する場合はどうでしょう。もしも無断リンクをするサイトが無断リンク先の決め方について情報を提供していたならば、宝くじの場合と何ら違いはありません。つまり、そのようなサイトから無断リンクをされたとしても、ウェブにコンテンツを公開することを選択したことに対する自己責任といえるでしょう。検索サイトからの無断リンクなどはその一例です。無断リンクの禁止を宣言しているにもかかわらず検索サイトから無断リンクをされても文句を言わない人が多いことに疑問をもつ人もいるみたいですけど、自己責任として処理しているからであると考えれば不思議なことではありません。

自己責任の範囲を超えるのは、無断リンクをするサイトが、どのサイトに無断リンクするかについて不透明にしている場合です。この場合、無断リンクをされたくない人にとっては、自分で選択をすることによって結果を自分で決めたことにはならないでしょう。結果がどのようなものになるかを判断するための情報が与えられていないのですから。もしもその情報があらかじめ与えられていたならば、無断リンクをされたくない人は、その情報をもとにコンテンツをウェブに公開するかどうかを決定したことになるし、その決定に伴う結果については納得せざるを得ないでしょう。しかし、その情報が不透明なサイトが相手では、そのような状況にはなっていないような気がします。

ブックマークコメントへのレス

あらかじめどのサイトにリンクするか明らかにするなんて無理じゃない?検索エンジンが特殊なだけで。

http://b.hatena.ne.jp/elastic965k/20070826#bookmark-5684251

無理かどうかは知りませんが、たとえ無理であったとしても、被無断リンクという結果を無断リンクされた側が自ら選んだわけではないという意味で、無断リンクをされた側の自己責任とはいえない部分が存在するのではないかというのが当エントリーの主張内容です。

任意のサイトが任意のサイトにリンクするのが大前提では?/できちゃうわけだし

はてなブックマーク - sshiのブックマーク / 2007年8月28日

「できちゃうわけだし」が「大前提」の根拠ならば、リンクをされた任意のサイトがリンクをした任意のサイトに文句を言うのも大前提になるし、任意の名無しが任意のブロガーに悪口を言うのも大前提になりそうです。でも、その「大前提」は、「任意のサイトにリンクをしたい人にとっての」「リンクをした任意のサイトに文句を言いたい人にとっての」「任意のブロガーに悪口を言いたい人にとっての」という限定を伴っていそうな気もします。

自己責任じゃなくて、単に方法論のような気がしますが……

はてなブックマーク - SiroKuroのブックマーク / 2007年8月28日

SiroKuroさんのおっしゃる自己責任や方法論の意味はよく解りませんが、もしも被無断リンクという結果を無断リンクされた側が自ら選んだのならば、無断リンクをした側に文句を言う筋合いにはないけれど、被無断リンクという結果を無断リンクをされた側が自ら選ぶことはできないのだから、自ら選んだことにはならないということを書きました。

何に無断リンクするかは、既に明らかである。何故なら、全てのものは全てのものに無断リンクするからだ。 / つか、既にネタでしかないような。 / 所詮、感情論。

はてなブックマーク - kana-kana_ceoのブックマーク / 2007年8月29日

方法論だとか感情論だとかよく解らんのですけど、少なくとも「何故なら、全てのものは全てのものに無断リンクするからだ。」はちょっと違うような気がします。すべてのものにリンクしているのは検索サイトくらいしかないのではないでしょうか。おっしゃっている意味が読み取れません。