議論が泥沼化する理由

ネットで誰かから変なことを言われたときの対処法について当ブログにて先日書いたエントリーの

その発言が真っ当であるためには何の説明が不足しているのかを明確にして、現状では変な発言にしかなり得ていないと認定すればいいのです。

変な発言には変な発言認定 - くっぱのブログ

に対して、ブックマークコメントとして

当然その主張はコメントの相手から変な発言扱いされるのでは。そして泥沼へ。

はてなブックマーク - sshiのブックマーク / 2007年8月17日

という意見をいただきました。たしかにネットを見ていると議論が泥沼化しているものが数多く見受けられます。でもそれは、双方による相手に対する一方的な決め付け行為によって招かれた泥沼化といえないこともないような気がします。

変な発言に対する「変な発言認定」対処法をもう一度説明すると、

  • 相手の発言が真っ当であるためには何の説明が欠けているのかを明確にし、その欠けている部分の説明を要求することによって、暫定的に相手の発言が変であると認定

ということになります。このとき変なことを言ったと認定された人にとって、その認定を撤回させるためにとれる行動の選択肢は2つしかなくて、

  • 説明が欠けていると指摘された部分についての説明を追加
  • 説明が欠けていると指摘された部分について説明する必要がないことを説明(説明する必要があることを言うためには何の説明が欠けているのかを明確にし、その欠けている部分の説明を要求することによって、暫定的に相手の発言が変であると認定)

のどちらかを選ばなければなりませんが、どちらが選ばれたとしても説明に説明で返しているという意味で泥沼とはいえません。つまり、お互いに相手の説明の足りていない部分を指摘し、その説明を相手から引き出そうとする態度を維持している限り、議論は少しずつであったとしても前に進みます。

議論が進まなくなるのは、どちらかの側が相手に説明を求めることなく一方的に相手のことを決め付けた(例えば、常識がない、思慮が浅く愚かだ、思い込みが激しい、ダブルスタンダードだ、など。つまり悪口を言った)ときに、そうされた側も仕返しとばかりに、相手に説明を求めることなく一方的に相手のことを決め付けた(つまり、悪口を言い返した)場合です。お互いに相手に説明を求めることなく決め付け合戦をしているのですから、議論が前に進むはずはありません。これが泥沼が発生するメカニズムというわけです。

では、泥沼化を回避するにはどうしたらいいのでしょう。相手が自分のことを根拠を示すことなく一方的に決め付けてきたときに、その決め付けの根拠を示さない限り単なる悪口にしかなり得ていない、つまり変な発言にしかなり得ていないと指摘すればいいのです。

ブックマークコメントへのレス

「どちらが選ばれたとしても説明に説明で返しているという意味で泥沼とはいえません。」/それは泥沼の定義が楽観的すぎる/後者の場合必然的にメタな論争になるので数回応酬すると互いの論旨がメタメタになって発散

はてなブックマーク - sshiのブックマーク / 2007年8月28日

大切なのは、相手がメタなことを言い始めて総論賛成・各論反対という状況になったときに、各論の部分が成立する根拠を説明して、総論は必ずしも総論という形では成立しないということをきちんと指摘することです。それをすることなく相手の主張を総論として受け入れたような態度をとり、しかしそれならばと自分も相手とは両立しないメタなことを言って相手に総論として受け入れさせたりしたら、それこそ泥沼突入です。