無断リンク禁止を宣言することはマナー違反か否か

この争点において、「禁止」は「命令」であって「お願い」ではないのだからマナー違反であるとの指摘があります。

両者ともに「要求」であることに違いはないのですが、ニュアンスとしてどこに本質的な相違点あるのかと考えてみると、おそらく「命令」には「それを無視した場合に、(無視せざるを得なかった必然性の説明がないならば)敵対するかもよ」という脅しが含まれるのに対して、「お願い」には「それを無視したとしても、(無視せざるを得ない何らかの必然性があったのだと解釈して)敵対はしないよ」との表明が含まれるということなのではないでしょうか。まあ、他人同士の個人間のやり取りの場合、敵対といってもせいぜい要求を無視されたことに対する不快感をアピールする程度のものであって、高が知れているわけですけど。

だとすると、他人からなされる自分に直接影響のある行為に対する要求に関して、争点として以下の2つが考えられると思います。

  • 他人からその要求を無視された場合に不快感をアピールすることはマナー違反か否か

マナー違反であろうはずがありません。というか、自分に直接影響があるのかどうかも定かではない他人の行為に対してでさえ、不快感をアピールする人なんていくらでもいるわけです。それこそが表現の自由というものではないでしょうか。もちろん、アピールの方法にやり過ぎがあった場合には、その意味でのマナー違反にはなるでしょうけれど(例えば、中傷みたいな発言をしてしまった場合など)。

  • 「この要求を無視したら不快感をアピールするよ」と脅しを含む形で要求をすることはマナー違反か否か

マナー違反ではないでしょう。というか、何をしたら不快感をアピールするのかについてあらかじめ表明しておいたほうが、突然に不快感をアピールするよりも、アピールされる側にとっては心の準備をする猶予が与えられるという意味で、相手に配慮をした形になっているのではないかという気さえします。

さて、無断リンク禁止を宣言しただけならば、「この要求を無視したら不快感をアピールするよ」との脅しを含む形で要求をしたことにはなっているかもしれないものの、具体的な誰かに対して不快感をアピールしているわけではありません。もしもマナー違反が生じるとしたら、実際に誰かに対して不快感をアピールした際に、中傷みたいな発言が含まれていた場合です。しかも、このことは無断リンク禁止を宣言しているか否かには依存しません。

もしもそうだとしたら、「無断リンク禁止を宣言すること」そのものはマナー違反にならないどころか、リンクをしようと思っている人に対して配慮をしている形になっている可能性さえありそうな気がします。