無断リンク禁止はナンセンス?

世の中、事前の許可なく自分のサイトにリンクをすることを禁止する無断リンク禁止宣言に関して、自分のサイトから他人のサイトにリンクをする場合に、相手サイトが無断リンク禁止を謳っているいないに関わらず無断でリンクをすることは物理的に可能なのだから、無断リンク禁止宣言なんて無意味であるという意見があるようです。たしかに、相手からリンクをされてしまったときに、リンクをされた側は相手に強制的にそのリンクを外させるための物理的な手段はありません。しかし、だからといって無断リンク禁止宣言が無意味かといえば、個人的には必ずしもそうともいえないような気がしています。

無断リンク禁止宣言とは何かということをよく考えてみると、早い話、無断でリンクされるのはサイト主である自分としては嫌だという宣言に他なりません。つまり、無断リンク禁止宣言をしているサイトに無断でリンクをするというのは、そのサイトに無断でリンクをせざるを得ない真っ当な理由が明らかにならない限りは、形の上でそのサイト主に嫌がらせ行為をしているということになるわけです。これって、他人への嫌がらせをしたくない人に対しては、無断ではリンクしない、嫌がらせ行為であることを承知で無断でリンクをする、の二者択一が強いられることになるという意味で、無意味どころかかなりの効果があるのではないでしょうか。

ただし、他人への嫌がらせ行為は絶対に許されないかといえば、そうとは限らないわけで、無断リンク禁止宣言の効果は他人への嫌がらせ行為は絶対に許されないという信念をもっている人のみに限定です。

例えば、ものを盗まれるのは嫌だから盗む行為は嫌がらせだというのと、ものを盗むのを阻まれるのは嫌だから盗むのを阻む行為は嫌がらせだというのでは、前者は許されない嫌がらせであるのに対して、後者は許される嫌がらせであるといえないでしょうか。その違いは、盗む行為が嫌がらせをする側とされる側のどちらであるかということにあります。つまり、後者は自分が盗んだから嫌がらせをされたのであって、盗まなければ嫌がらせをされなかったという意味で、自分からは盗んでいないのに嫌がらせをされる前者とは嫌がらせの質がまったく違うわけです。

ネットでも同じです。例えば、著作権的に微妙で他サイトからリンクされたくないコンテンツに無断リンク禁止宣言を無視されてリンクをされたとしても、そのコンテンツをネットに公開したからこそリンクをされたわけで、公開しなければリンクなどされなかったわけです。あるいは、変な発言を書いたコンテンツに無断リンクをされたとしても、変な発言をしたからこそリンクをされたわけで、変な発言をしなければリンクなどされなかったわけです。無断リンク禁止サイトへの無断リンクは嫌がらせです。でも、嫌がらせの中でも許される嫌がらせなので、そのあたりを理解している人たちに対しては無断リンク禁止宣言の効果はあまり期待できないのかもしれません。

追記(部分的な撤回)

当エントリー本文の最後の2つの段落において「許される」「許されない」の意味が不明瞭であるうえに私自身明瞭に説明できないので、これらの段落の中で述べられている主張について撤回いたします。